リハビリ病院は環境や病棟で決める・チェックポイントと探し方

この記事では、リハビリ病院の選び方をご紹介しています。リハビリ病院は、環境や病棟を見て選ぶことが大切です。いくら名声があろうとも、適切なサービスとサポートが受けられる態勢が整っていなければ入院する意味がありません。

リハビリ病院の探し方

リハビリ病院(回復期リハビリテーション病院)は、さまざまな障害を抱える方が、将来、快適な生活を送るために入院してリハビリテーションを行うための病院です。リハビリ病院に入院するためには、厚生労働省が定める基準を満たす必要がありますが、それと同時に患者さんが目指すリハビリが行えるかどうかや、ほかにどんな診療科を設けているかなどを確認する必要があります。

実際にリハビリ病院を探し始める前に

実際にリハビリ病院を探し始める前にも確認すべきことはあります。リハビリには段階があり、順に「急性期」「回復期」「生活期」という3段階に分かれています。1段階目となる急性期病院にて、脳卒中などの手術を行い、患者さんを安静な状態に保ちます。急性期病院では、認知機能の低下などを防ぐことが目標であり、通常は術後1ヶ月程度でリハビリ病院に移ることを求められます。

リハビリ病院は2段階目の回復期に入院する病院。日常の生活に戻るための機能を回復するリハビリテーションを行います。リハビリの内容は運動機能や日常生活における動作、コミュニケーション、気持ちのコントロールなど多岐にわたります。リハビリ病院では、患者さんの健康状態や障害の状況にもよりますが、3ヶ月から6ヶ月程度を目安に退院し、自宅復帰することを目標にリハビリが行われます。

早めに動く

ただ、最近は急性期病院でもリハビリを取り入れるところが増えています。これは手術後に安静を保つことが、必ずしも回復につながるわけではないことがわかってきたからです。リハビリは継続性が求められますので、リハビリ病院に移る場合でも、なるべくブランク無しに移れるよう、タイミングを考えなければなりません。すなわち、早めに動くことが大切です。

リハビリ病院・環境面のチェックポイント

リハビリ病院はどこも同じではありません。力を入れている分野も異なれば、リハビリに使われる設備や器具も異なります。リハビリに費やせる時間も異なりますし、もちろんスタッフの数や習熟度にも違いがあります。たとえ同じ基準の病棟であっても、このような環境面の違いは大きいものがあります。したがって、患者さんの状態や症状に合わせて、理想的な環境を選ぶ必要があるのです。

・環境のチェックポイント1・スタッフの数

リハビリ病院では、医師をはじめ、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士など、多くの専門職の人々が働いています。特に入院する患者さんの症状や障害に対応する専門家の存在は重要です。また、それぞれの職種のスタッフ数を病床の数と比較しましょう。それにより、どの分野に力を入れているのか理解することが可能です。

・環境のチェックポイント2・リハビリに割ける時間

リハビリ病棟でのリハビリは、1日当たり最大で3時間と定められています。ただし、これはあくまでも「最大」であって、すべてのリハビリ病棟で、1日3時間のリハビリが行われているわけではありません。また、病院の休日にリハビリができる病院なら、入院している時間を有効にリハビリに費やすことができます。リハビリに多くの時間を割くことで、日常生活動作(ADL)に大きな改善が見られたという調査もあることから、リハビリに割ける時間が多いほど理想的だと言えます。

・環境のチェックポイント3・リハビリ以外の入院生活

リハビリに割ける時間は長ければ長いほど理想的。ただし、リハビリの時間は限られるため、実はリハビリ以外の入院生活が、日常生活への復帰、日常生活動作の回復に影響を与えるのです。リハビリの時間を除いては寝たきりの生活では、リハビリの効果も疑わしいものになります。リハビリの時間以外に、レクリエーションや日常生活に役立つ活動が用意されている病棟なら、入院生活を有意義に送ることができます。

・環境のチェックポイント4・在宅復帰率

在宅復帰率は、その病棟で行われているリハビリのクオリティを表す指標になります。入院を考える場合は、必ずチェックするべき指標です。

リハビリ病院・病棟のチェックポイント

厚生労働省は、患者さんに対し、リハビリ病棟への入院基準を定めていますが、病棟に対しては、スタッフの数、治療達成目標などにより「入院料1」から「入院料6」という6段階の基準を設定しています。ここからは病棟のチェックポイントについてご紹介していきます。

・病棟のチェックポイント1・病棟基準

リハビリ病院の病棟には病棟基準が設定されています。もっとも厳しい基準が「入院料1」で、病棟基準をチェックすれば、病棟の充実度を推し量ることができます。入院料1や入院料2の病棟は、看護職員の割合が他の基準の病棟よりも高く、常勤の言語聴覚士、社会福祉士も必ず配置しなければなりません。また、休日のリハビリテーションメニューの提供も求められます。

・病棟のチェックポイント2・診療科

リハビリテーション科や整形外科のほかにどんな診療科があるか、必ずチェックしておきましょう。患者さんそれぞれ、障害のほかに持病がある場合もあります。院内で対応できるのであれば、それに越したことはありません。

・病棟のチェックポイント3・ロケーション

リハビリ病院の病棟への入院は、半年近くにわたることも多いため、家族が訪れることを考えるとロケーションは病棟選びの重要な要素になります。ただ、最優先するのはあくまでも「患者さんに合った施設」。ロケーションはその次以降に考慮すべきポイントになります。

リハビリ病院・そのほかのチェックポイント

リハビリ病院を選ぶ際の、環境と病棟の面で押さえるべきポイントをご紹介しました。ここからは、そのほかのチェックポイントについてご紹介します。中には、ちょっと意外な?チェックポイントもあります。

・スタッフの平均年齢

リハビリ病院の病棟で働くスタッフ。特にリハビリに直接関わる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、比較的年齢層が低いスタッフの割合が多くなります。これは資格自体が新しいことに原因があるのですが、やはり「経験」という面では、若干の不安を感じる方もいらっしゃいます。リハビリ病院のホームページをチェックすると、時々スタッフの平均年齢が記載されていることがありますので、参考程度ではありますが、検討の材料にしてもいいでしょう。

・スタッフの勤務形態

通常、リハビリ病棟で働くスタッフの勤務形態はシフト制です。ただ、タイムスケジュールについては病院によって多少異なります。リハビリは基本、自宅復帰のために行うものであることを考えれば、自宅での生活と同じリズムでリハビリをするのがベストです。もちろん、多くの病棟で生活リズムに合わせたシフトが採用されていますが、一応、チェックしておいた方がいいでしょう。

・実際に五感を使ってチェック

実際に病棟を訪れてみて、五感を使って雰囲気を感じ取りましょう。リハビリは長丁場になります。若く、はつらつとしたスタッフや、経験豊富なスタッフが働く病院からは、ポジティブな雰囲気を感じ取れるはずです。

・退院後のリハビリも考える

リハビリ病棟への入院期間は限られます。そのため、現実的には、障害の回復が思わしくない場合でも退院しなければならないこともあります。自宅、もしくは施設に移ることになりますが、もしリハビリ病棟にて外来、デイサービス、訪問リハビリなどのサービスを提供しているようであれば理想的です。スタッフも患者さんの状態をすでに理解しているので、両者にとって「心地よい」というメリットがあります。